秋の蛍

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バスはどんどん山奥の方へ進んでいった。 切り立った崖の上に作られた細い道をバスはどんどん進んでいった。 窓から外を見ると、崖のずっと下の方に小さな川が見えた。 僕は一瞬谷底に引き込まれるような感覚に襲われ、視線を車内に戻した。 今このバスがここから落ちたら確実に死ぬ、でもそれもいいかもしれない。 僕はそんなふうに思った。 やがてバスは小さな村落の停留所に停車した。 どうやらここが終点らしかった。
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