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「母ちゃーん、空(ソラ)くんから手紙きた」
「空くんから?」
普通に学校行って帰ってくると、手紙……というより、ルーズリーフを破ったであろう紙に、用件だけ書かれたモノが玄関に挟まっていた。
「うん。……中央広場って……どこの中央広場だよ」
「空くんのことだから……やっぱ学園の広場じゃないの?」
「はあ?学園!?……うわー…絶対やだ」
学園っていうのは、能力の高い人達が大勢集まって、"みんなで能力を高めていきましょう"とかいってる大きな町みたいなとこ。
ここの世界の人達はみんな何かしら能力を持ってる。
それを有効に使おうとする人達は学園に集まり、まあどうでもいいと思ってる人達はそんな所に近寄らない。
「何言ってんのよ。空くんはあんたの命の恩人でしょ?」
「それとこれとは話が別」
空くんとは私のお隣りに住む成瀬さんちの息子。
自分の能力をどう使うか、それすらも考えるのがめんどくさかったらしく、親に言われるがまま学園に行ってしまった、お気楽野郎。
「別じゃないわよ。空くんから手紙がくるなんてよっぽどのことじゃないの?協力してあげたら?」
「でもー…」
学園の人って、結構自分の能力に誇りを持ってる人が多くて、なーんかそれ以外の人達を馬鹿にしてる感じがして、好きになれないんだよね……。
まあ実際、学園の人達の能力ってすごいっちゃあすごいんだけど。
「でもじゃない!!」
「…………はー…い」
こうして、おっかない母親のせいで、私は学園に行く羽目になった。
。
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