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昼だと言うのに部屋は薄暗かった、少なからず布の隙間から入り込んでくる光も、木々に覆われている白い部屋にはあまり侵入出来ないのだ。されどまだ見えやすいのは、白い部屋だからこそなのだろう。
…寅君の部屋には行きたくないな。
誰もそうだねと共感するわけでもない空間で、俺は微かに笑った。
「…何か、孤独」
ここの患者達はひねくれ患者ばかりだし、友達になんてことは簡単には出来ない。身内がいても何だか…
「仲悪いしね?」
「そうそう…、……!?」
ああまた来たと震えた足にクスクスと笑う唇、今日の住処はこの壁らしく…俺を飲み込めそうな大きさで壁から唇が現れていた。
…わかりにくい?そうだね、壁から生えてるみたいな物だよ、唇とちらりと見える赤い舌に黄ばんだ汚ならしい歯。…こいつはまだマシだけど、言葉が使えるから色々と厄介なんだ…。
「君の何でも知っているしね」
…俺の考えていることまるわかりだしな。
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