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01.初対面
いつものように歩く、学校の帰り、通学路。
コンプレックスと、それをごまかす為に染めた金髪をまとめて隠せる大きめのフードを被って、マフラーに鼻先まで埋めながら歩く。
あー、ポケットん中のカイロがあったかい。
「あ……そこの金髪のキミ、待って。」
後ろからかかった声、金髪という単語に覚えがあるので振り向くと、良かった気が付いた、と言って笑う女のひとが居た。
僕ですか、なんですか、という意味を込め首を傾げてみれば、違わずこちらの意図を汲み取った彼女はまた笑って、
「うん、キミ。落としたよ、これ。」
と差し出された手。見ればそこには、
「、おれの財布!」
なんで落ちるんだこんな物!
「あぁ、やっぱりキミのか、良かった。」
人の良さそうな笑顔でそう言う女のひとから財布を受け取り、一応フードを取り払ってから、ぺこりと頭を下げる。
「ありがとうございました。」
すると彼女は、少しきょとんとして、また笑う。
「どういたしまして。」
はい、と返事を返そうとして頭を上げる。……と、ぽすんと頭に温もりが乗っかった。
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