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(……え、ホントに、ここ?)
どうしたものかと考え、立ち尽くしていた僕の肩に、ぽん、と何かが乗せられる。
「へ?」
肩に乗ったのは、男のひとの手。振り返ると、
「きみ、何してるんだい?こんな所で。」
険しい顔をした、全体的に青い服の、見た目50代くらいな男のひとが居た。
……わあ、(多分)警備員さんだー……、警備員、さん……。
「すっ……!すいませんごめんなさい落とし物届けにきただけなんです!!」
高速(な感覚)で頭を下げる。フード被り忘れてたから取る必要は無し!
金髪のせいで疑われやすいのはわかってるんだ、前にもお巡りさんに声かけられたからね!
補導とかごめんです勘弁してくれ。
あれ、でも……金髪→不良、フード被ってる→怪しい……ってどっちみち駄目じゃん!あぁああ一ヶ月前の俺のばか!
友達の口車にやすやすと乗った過去の俺を張り倒したい、ド○えもんタイムマシン貸してくれ。
……なんて、頭を下げながら現実から逃避していると、
「そうなのかい?」
と、気の抜けたような声が降ってきて、こっちの気も抜けた。
「世の中にはいい子も居るもんだねー、」
顔を上げると、さっきとは打って変わって笑顔の警備員さん。
お花が飛んでる気がします、ほわ~、って感じ。
誰に何を届けに来たの?と聞かれたから、手に持っていた地図を左ポケットに突っ込んで、逆側のポケットから名刺入れを出す。
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