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「あら、明日香ちゃん凄く可愛い!」
「広樹くんも、随分背が伸びたのねぇ。
やっぱり色男ね、広樹くん。」
母親同士の会話なんて、どうでもいい。
四月の初め、春真っ盛り。
町は桃色に染められていた。
そして今日、いよいよ中学一年生。
とても嬉しいはずなのに、今とても緊張しております。
それはきっと、こいつのせい。
「明日香ママも、美人だな。」
「広樹くんったら、もう……。
そんな顔で言われたら、私……不倫しちゃう……。」
「ママ、ただのお世辞なんだから調子乗らないでよ。」
ママは頬を膨らませ、また広樹ママと話し始めた。
広樹は相変わらずのお調子者。
おまけにお人好し。
もちろん、学ランを着ると大人っぽいし、正直、格好良すぎ。
けど、そんないつも通りの広樹をまともに見れないのは、あの日のせいだ。
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