第二話

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「あら、明日香ちゃん凄く可愛い!」 「広樹くんも、随分背が伸びたのねぇ。 やっぱり色男ね、広樹くん。」 母親同士の会話なんて、どうでもいい。 四月の初め、春真っ盛り。 町は桃色に染められていた。 そして今日、いよいよ中学一年生。 とても嬉しいはずなのに、今とても緊張しております。 それはきっと、こいつのせい。 「明日香ママも、美人だな。」 「広樹くんったら、もう……。 そんな顔で言われたら、私……不倫しちゃう……。」 「ママ、ただのお世辞なんだから調子乗らないでよ。」 ママは頬を膨らませ、また広樹ママと話し始めた。 広樹は相変わらずのお調子者。 おまけにお人好し。 もちろん、学ランを着ると大人っぽいし、正直、格好良すぎ。 けど、そんないつも通りの広樹をまともに見れないのは、あの日のせいだ。
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