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夕日に照らされた、薄暗い部屋で起きた出来事。
今でも私の肌は、あの出来事をはっきりと覚えている。
広樹が私に、キス……するなんて……。
いつも馬鹿でナルシストで、やんちゃな広樹とはかけ離れた表情。
腕を掴まれた時の力強さに、初めて広樹を男だと確信した。
あれから必要以上の事は話さず春休みは早々と終わってしまった。
「じゃあ時間だから……行ってらっしゃい!」
「え、ママも入学式一緒に来るんじゃ……。」
「後から行くから。」
「明日香ちゃん、馬鹿な広樹を宜しくね。
広樹、真面目に行くのよ!!」
二人とも笑顔過ぎて、断るにも断れない。
「分かってるよ母さん。
明日香行こう。」
ニコッと笑った広樹は、私の肩を軽く叩いた。
私も渋々、広樹から少し離れて歩き出す。
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