第一話

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「カルピスでいいよな?」 「うん。」 部屋に着くなり、飲み物を用意した。 「春休み終わったら、もう中学生になるね。」 私がこんな話を切り出すと、広樹は涼しい顔で応えた。 「そうだな。」 いつになく大人しい私達から、会話が消えていった。 カルピスをコップに注ぐ音だけが、部屋に響く。 注ぎ終わると、下の階の笑い声が、微かに聞こえるだけだった。 「……明日香。」 「はいっ。」 優しい声に驚いた私は、変な返事を返してしまった。 優しく笑う広樹は、大人っぽくて……。 ふいに、胸の鼓動が高まった。 「あの様子だと、パーティの用意時間掛かるようだから……。 何かしてないか?」 「え……っと……。 あ、卒業アルバム見ようよ!」 広樹はニカッと笑うと、重たいアルバムをひょいと取り出した。
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