始まりの瞬間

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「何?受験生?」 さっきよりは少し迷惑そうな様子が薄れた顔で聞いてきた。 「…はい。 あ、あのすいませんでした。」 あんなにイライラしていた私はどこえいったのやら、文句を言ってしまった自分が謝っている。 「…は? ……っハハハ!! 沙恵ちゃんって言ったけ?」 「はい…」 「何で謝ってるの? 文句言うんじゃないの?」 あの人はボールをお腹に抱えて笑いながら聞いてきた。 「え…あ、でも公園だから私文句言えないかなって…、さっきは少しイライラしてて…、すいません。」 「アハハッ そう?ならバスケ続けるわ 勉強頑張って」 「……え?あ、はい」 そう言うとあの人は身軽にスリーポイントシュートをスポッと気持ち良く決めた。
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