16人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの子いつもマスクしてへん? 少し気持ち悪いね」
「関わらん方がええよ。目つきも悪いし」
耳に入ってくる距離の場所でそんな声が聞こえた。苺はそれが自分のことだとすぐに分かった。
聞き慣れた言葉だ、と心の中で思う。
苺は教室の一番後ろの窓側の席に座り、外の景色を眺める。
桜が咲き誇り、新入生を迎えるこの季節。
中学までの自分を消し去りたいから、誰も知り合いのいないこの高校を選んだ。
入学して三日経った。
周りは必死に友達を作ろうと励む。わたしに話し掛ける生徒もいた。しかし、会話は続かず遠退いた。
友達はまだ一人もいない。
そんなわたしは徐々に自分と周りとの距離が埋まらず、逆にどんどん離れていく。
そんな想像もしたが慣れっこだ。
最初のコメントを投稿しよう!