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「なかなか決まらないと思っていたから助かったわよ。ありがとう、茶谷さん」
「いえいえ。先生、委員長って一人ですか?」
兎が尋ねる。
「本当はもう一人欲しいんだけど……やっぱり茶谷さんにも負担大きくなるし」
先生は申し訳なさそうな顔でクラスメイトに目を向けた。その途端に再びクラスメイトは目線を下げた。
「男の子が出てくれたら良いんだけど……」
先生の独り言が続く。
教室の雰囲気は先ほどの盛り上がりとは打って変わって、唾を飲み込む音でさえ聞こえそうなほど静寂に満ちていた。
みんな他人任せで、誰かが出てくれるのを待っている。
苺も勿論そうであり、まず自分は適役でないと思っていた。
なかなか立候補がいないことにしびれを切らせてか、兎は思いがけないことを口走った。
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