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「ウチが選んで良いですか?」
「……茶谷さんが? この際仕方ないわね。仲良しな子でもいいよ」
その一言にクラスメイトは途端に顔色を変えて、自分ではないことを願っている。
苺はそんな彼らとは違って、堂々と構えていた。
苺は兎が誰と仲良しかまだ知らなかった。まだ三日しか経ってないし、明らかなのはみんな深い仲ではないはずだ。
それだけに誰が選ばれてもおかしくない状況だが、自分が選ばれることは何を差し置いても有り得ないと思っていた。
兎は名前も知らないだろう。いや、まず後ろの席だし視界に入らないだろう。
あらゆることを考慮したが、兎はやっぱり兎だった。
「あの一番後ろの席に座ってるマスク付けた子」
「………えっ?」
その言葉にクラスメイトが一斉に顔を苺に向ける。苺は何が起きたのかわからないほど困惑した。
ただ、苺は「兎」に選ばれたことになぜか不思議な安堵を抱き、自然に事実を受け入れることができた。
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