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一時間目の授業が終わり休憩時間になると、兎は苺の前の人の椅子を借りて苺と向かい合うように座った。
「ウチなぁ茶谷兎って言うねん。いきなり悪いな」
悪びれた様子もなく兎は言う。しかし、苺は黙っていた。
「先生に確認取られたときもそんな感じやったやん? イヤなら断れたで。まだ間に合うし言ってこよか?」
兎の言葉はそのまま心に入ってくる。苺は無反応というよりただ何と言えば良いかわからなかった。
「もしかして人見知り? ウチと真反対やな」
独り言のように言葉が続き、一人ケラケラと笑う。苺は戸惑いを感じていた。
そんな苺を気遣ってか話すのを待っている兎。顔を覗き込んで様子も窺ってくる。
苺は目線を下げて、あまり顔が見えないように伏せた。
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