兎という女の子

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 さすがに兎もしつこいと自分で感じたのか、席を立とうとする。  苺は兎の制服を掴み自然に引き止めていた。 「んっ?」  兎は間抜けな声を出す。 「なんで……わたしを選んだん?」  苺はそれだけが気がかりだった。委員長の仕事よりも自分が選ばれたことに違和感を抱いていた。 「理由かぁー。マスク付けててつまらん顔してたからかな?」  何も考えずに兎はボロボロと言葉が口からこぼれる。苺にはそれが少しおかしかった。 「……ふふっ。それだけ?」 「あとはー綺麗な子やなって思って。こんな子と仲良くなりたいって思った」  綺麗という言葉が頭に引っかかる。 「綺麗……?」 「マスクしてるからよくわからへんけど、目鼻立ち綺麗。マスクは花粉症?」  兎の指摘に苺は黙って頷いていた。
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