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黎花『何……コレ?』
家は燃え、何かが燃えるような異臭が漂っている。
何かとは昔は人であったろうもの。
倒れて動かない人やその、もう目覚めることはなかろう人を何度も何度も繰り返し泣きながらかすれた声でよびかける人。
生を持つものはただひたすら叫んだり、逃げたり。
皆それぞれやっていることは違うけど共通点は一つ。
―――皆、生きようと足掻いていた。
私は何故ここにいるのか。私は何をすればいいのか。どうしてこんなことになったのか。
こんな所にいたくない。
逃げなきゃ…!!
でもどこに?
どこに行けばいいの?
私はそこにしゃがみ込み、耳を塞ぎ、ぎゅっと目をつぶった。
?『――様、こちらにもありませんでした』
ふと阿鼻叫喚の中からはっきりとした声が聞こえた。
私はふと顔を上げると私の前に2人ぐらい男の人が立っていた。
だけどその人達は私を見ているのではなく、誰かを見ているようだった。
男の人達はローブのフードを深くかぶっていたから表情は見えない。
?『そうか。ご苦労。この町も簡単に落ちたな。残りはただあと1つだな。よりによって最後の1つとは我々も運がないな。』
……ふとよく知った声とよく似た声が聞こえた。後ろを振り返るとそこにはローブのフードを深くかぶった女の人がいた。
?『ですが残り1つ。我々の手によれば造作もないことでは?』
すると女の人はフードをとった。
?『油断するな。少しの緩みが失敗を生むことも多いんだぞ』
そこに立っていたのは………
黎花『……美……鈴…?』
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