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……ッ
い、今のはガチで焦ったぁ……つーかなんだこいつ、影を操ってんのか?んな情報は無かったぜ。
驚きの新情報に焦りながらも俺は息を整え視界から日鳥の姿は逃さない。つーか今ので結構喉にきた。
「ぜぇ、はぁ、あーいだ。ったく今のは笑えないって、怪我したらどうする気だ」
「フッ……先ほどまでの威勢が無くなったぞ?」
「あぁ?んな事はねぇよ。あれだ、俺が本気だしゃ一瞬なんだからな。俺の戦いはエンターテイメントだ、こっちが本職じゃあないんでね」
強がって発言はするものの身動きが取れないんじゃさっきみたいにゃいかねぇな……しかし初手のあの反応を見れば見切られて要るとは思えん。
この影さえどうにかすりゃ……
「既に先のタネは判った。お主はただ《速い》だけ。しかし同時に一番厄介だ」
「あらら、バレてらっしゃる……」
まさかこんなに早くバレるとは……こうなりゃ仕方ない。
今まではバレない様に心配してたが……もうその心配も必要ない。
「しかしまぁバレちゃあ仕方ないか。ならもう隠す必要性も無いし」
「地面に縛られた鴉が何を囀(さえ)ずるかとと思えば……羽をもがれ地に落ちた鴉に羽ばたく事はできない」
……ったく、黙って聞いてりゃこの根暗烏め。その言葉はてめえ自身に言ってんじゃないのか?
小さく舌打ちを溢せば俺は背中に軽く力を込める。それと同時に広がるのは漆黒に染まる己の翼、人では無く人外だからこそ存在するこの翼で軽く折る、伸ばすを繰り返す。
「まるで自分に言ってる様に聞こえるがね。まぁいい、こんなもんで天下の情報屋ラド様の翼をむしりとった思ってんなら大間違い……だッ!」
「ッ!?」
次の瞬間、辺りに吹き荒れる突風。ブチッと鈍い音が響き渡り、足を絡めていた影が千切れる。その音に驚きを隠せない日鳥の表情。
しかしそれも《一瞬》
目視できないその速さで日烏との距離を詰めれば胸部を俺の足底が捉える。勢いを殺せぬまま無様に吹き飛ばされ地面を日鳥が転がる。
「ガハッ!ッ!?」
「さて、言ったよな?《一瞬》だって。俺のライブもいよいよクライマックスだ、フィナーレをこの特別視聴席をとくと堪能しなっ!」
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