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「もしもーし、朔夜さーん? 神崎 朔夜さーん? 起きてくださーい」
目を覚ましたとき、神崎 朔夜(サクヤ)は視界一面が純白の世界に横たわっていた。
白、白、白。
どれだけ視線を巡らせても、映るのは白一色のみ。
それ以外は何も映らな
「ちょっと!? 私の存在を消さないで下さいっ!」
……いこともなく、目の前には一人の少女が立っていた。
歳は12、3歳といったところだろうか。
長く艶やかな金髪から覗く顔は、幼いながらもかなり整っていることが伺える。
そしてその少女には、目を引き付けて止まないモノがあった。
それは───“翼”。
少女の背からは、明らかに少女自身の身長を超えているであろう巨大な純白の“翼”が3対、計6本も生えていたのだ。
「天使、か?」
「……冷静ですね。大抵の方はかなり驚かれるのですが」
落ち着いて述べた朔夜に、少し意外だ、といったような表情を浮かべる少女。
朔夜はそれに苦笑した。
「まぁ、状況が状況だしな。自分がどうなったかくらい、言われなくても分かるさ」
ふぅ、と一息吐き、重たい口を開く。
「俺は……
死んだんだろ?」
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