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えぇ、と頷く少女。
そう、朔夜はすでに死んでいた。
車に轢かれそうになっていた子どもの身代わりになって。
少女は急に真剣な顔つきになって尋ねてきた。
「朔夜さん。あなたはなぜ、あの子どもを助けたのですか?」
解らない。
なぜ、目の前の少女がそんなことを聞くのかが。
「なぜ、って……そんなの俺にも分からないよ。気付いたら体が動いてんだから」
しばしの、沈黙。
それは一瞬のことだったのか、または数十分の間だったのか。
やがて少女は、「……、嘘じゃ、ないみたいですね」と小さく呟いた。
そして表情を崩しながら、エヘッ、と笑った。
「変なことを聞いちゃってすみませんっ! さぁっ、ちゃちゃっと用事を終わらせちゃいましょう!」
「……用事?」
わけが解らない、といった表情の朔夜に少女は笑いかける。
「はいっ! 朔夜さんの“これから”についてです!」
……ますます混乱する。
既に死んだ朔夜に“これから”……ましてや選択の余地があるのだろうか。
だが、悩む朔夜を他所に、金髪の少女はとても楽しそうだった。
「選んでください、朔夜さん。あなたは、
“転生しますか?”」
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