Chapter-00 《序》

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えぇ、と頷く少女。 そう、朔夜はすでに死んでいた。 車に轢かれそうになっていた子どもの身代わりになって。 少女は急に真剣な顔つきになって尋ねてきた。 「朔夜さん。あなたはなぜ、あの子どもを助けたのですか?」 解らない。 なぜ、目の前の少女がそんなことを聞くのかが。 「なぜ、って……そんなの俺にも分からないよ。気付いたら体が動いてんだから」 しばしの、沈黙。 それは一瞬のことだったのか、または数十分の間だったのか。 やがて少女は、「……、嘘じゃ、ないみたいですね」と小さく呟いた。 そして表情を崩しながら、エヘッ、と笑った。 「変なことを聞いちゃってすみませんっ! さぁっ、ちゃちゃっと用事を終わらせちゃいましょう!」 「……用事?」 わけが解らない、といった表情の朔夜に少女は笑いかける。 「はいっ! 朔夜さんの“これから”についてです!」 ……ますます混乱する。 既に死んだ朔夜に“これから”……ましてや選択の余地があるのだろうか。 だが、悩む朔夜を他所に、金髪の少女はとても楽しそうだった。 「選んでください、朔夜さん。あなたは、 “転生しますか?”」
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