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「───ッ!?」
思わず絶句する。
“転生しますか?”
それはつまり、再び生を受けることが出来るという可能性。
だが、いくつか疑問は残る。
例えば───
「なぜ、俺なんだ?」
そうだ。
なぜ、朔夜なのか。
転生など、そうそう出来るようなものではないはずだ。
日本、いや、世界中で死んでいく何千、何万の人々の中から、なぜ朔夜が選ばれたのか。
幸運、そう言ってしまえばそれまでだが、朔夜は何らかの理由があると考えていた。
だが、少女は笑う。
「ふふっ、簡単な話です。“恩返し”、ですよ」
「恩返し?」
訝しげな顔をする朔夜を前に、少女はくるりと踊るように一回転する。
すると、刹那の間に金髪の少女は消え、そこには短い黒髪の子どもの姿。
「……あっ」
図らずも、漏れる声。
それは、まさしく朔夜が命を賭けて護った子どもの姿であった。
「解りましたか? あの時、私は確かに朔夜さんに命を救われていたんですよ?」
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