勇者じゃないから縛りプレイ

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勇者じゃないから縛りプレイ

食料は大事だ。 つーこって俺はレモン一切れだけで我慢して今後について考えてみた。 別に今後でもないが。 まずはほっぺたをつねってみる。 「うーむ。痛いな」 どうも夢ではないようだ。 となると必要なのは水と食料だが。 家は――まあ、最悪野宿でいいだろう。 にしても俺はなんで家の裏なんかに寝てるんだろうか。 最初は草原の樹の下。 次は村の見える高台。 そんで下って来てから倒れて、今度は家の裏。 訳がわからん。 とにかく、何かないのか? 辺りを見回すと青い宝箱が置いてあった。 「これみよがしに……」 まさか檜の棒なんてわけな―― 「これは……樹の棒か? どれ」 すんすん、と。一応臭いを嗅いでみる。 「うん、温泉ぽいな」 檜でした。 完全にゲームだろこれおかしいだろなんで宝箱に檜の棒が入ってんだよ! つかなんで宝箱があんだよ! 言いたい事は山ほどあるのだが、まだ檜の棒が宝箱の中にあっただけの事。慌てる時間じゃない。 近くの草むらを書き分けると青い宝箱があった。 開けるとそこには、ナベの―― 「本体じゃねえか! なんだこの期待を裏切られた感じ! どうせならふたにしろよ! それともなにか? もう勇者がふただけパクってったんですかこの野郎があああああ!」 ぜぇぜぇ。 いかん取り乱した。 まだ慌てる時間じゃない。
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