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「彼?」
嘉奈がサンドイッチに手をのばす。
その手を狭間は阻止しながら話しを続ける。
「僕も、彼に同じ質問をされたのさ。その時、彼は嘉奈ちゃんと同じ答を言った。」
「ほー、狭間はなんて答えたんだ?」
さりげなく僕はサンドイッチを奪い、口に頬張る。
隣で嘉奈の残念そうな声が上がるが気にしない。
「知りたいかい?」
その時、狭間はなぜか悲しそうな顔をした。
「え、ああ・・・。」
僕が答えると、狭間はまたいつも通り笑った。
「そうだね、あれは僕が河國氏や嘉奈ちゃんくらいの頃だったね。」
自分の過去を語らないあの狭間が、初めて過去を話しはじめた。
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