001

2/13
前へ
/38ページ
次へ
10年前、ある夏の日。 「暑い・・・。」 照り付ける日差しのせいで、肌が小麦色に焼ける。 僕はこの季節が大嫌いだ。 「ぎーんー!」 「ん。」 目の前で手を振る親友は夏になると、テンションが妙に上がる変人だ。 その親友、天地朧は僕の目の前まで猛ダッシュで走ってきた。 「なんだよ銀、シケた面して。」 「黙れ変人。」 うっとおしく喋ってくる朧を適当に相手しながら、僕たちは学校までこの炎天下の中を歩いた。 何気ないこの日常。 暇すぎるこの日常。 平和なこの日常が、今日を境に終わりを告げるなんて思いもしなかった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加