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そういうと、ドラえもんは、空っぽの4次元ポケットから、「どこでもドア」を取り出した。
ドラえもんは何かあった時の為に「どこでもドア」だけは売らずに、とっておいたのである。
ドラえもんは、「どこでもドア」を狭い病室の中に立てると、寝たきりののび太に話しかけた。
「のび太くん・・・・・どこに行きたい?のび太くんの好きな所に一緒に行こう。僕達、いままでだってどこに行くのもず~っと一緒だったもんね。」
ドラえもんはそう言うと、のび太を背中におんぶした。
「どっこいしょ。重くなったねえ、のび太くん・・・・。」
のび太を背中に背負ったドラえもんは「どこでもドア」の前に立った。
もう一度のび太に聞いた。
「どこに行きたい?ねえ、のび太くん。」
答えが帰ってくるはずはなかった・・・・。
しかし、一瞬みんなには、のび太が笑ったように見えた。
幻だったのかもしれない・・・・。
「わかったよ。のび太くん。そこへ一緒に行こう・・・・。」
ドラえもんには何が聞こえたのだろうか?
またのび太が微笑んだ。
見間違えなのではない。みんな見たのだ。
「のび太くん。じゃぁそろそろ行こうか・・・・。」
「どこでもドア」が一人でに開いた・・・・。
開いたドアの向こうに素晴らしい景色が広がった・・・。
綺麗なチョウチョが飛んでいた。見たこともないほど可憐で、嗅いだ事のないほどいい匂いのお花が咲いていた。
まぶしい程の光でいっぱいだった。
のび太が最後に行きたい所。
そこは天国だった。
「さあ行こう。」
ドラえもんは動かないのび太くんを背負ってその中に入っていった。
ギィー・・・・
バタンッ
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