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よくよく見れば、マオは汗一つ流していない。
九尾もマオを攻撃した罪悪感はあっても、私のように傷の心配をするような焦りは声からは一切感じられなかった。
「まさか・・・本当に何ともないの?」
「ああ。心配に及ばない。」
そういって、マオは九尾の腕を自分の腹から引き抜いた。
見ているだけでこちらが痛い。鳥肌がおさまらない。
それなのに当の本人はいたって平然としている。
「どうして・・・。」
「魔王様が魔王様たる所以ですわ。」
いつの間にやら美しい人間の顔に戻った九尾が、一人状況についていけない私に説明をしてくれた。その真意は分からない。
「魔王様はさきの戦争で自らの痛覚をお捨てになられたのよ。痛みを感じないお体を手に入れた魔王様は、その圧倒的な力を更に揺るぎないものにして戦争を終わらせましたの。」
痛みを感じない?
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