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「よく考えて、それが、その事実が誰にどう影響するのか・・・。」
私の言葉に九尾はハッとして、何も言わずにその場から消えるように去った。
きっと私と同じ考えに至ったんだろう。
「艶子に攻撃したのに逃がしていいのか?今からでも捕まえられるぞ。」
微妙に怒気を含みつつも私の意見を確認するあたり、会話の意味は分からなくとも、ただならぬ空気は読んだらしい。
「いい。たぶん九尾は悪くない。」
「たぶん?」
『わたしのせいで・・・もういない。』
あの時、わたしは九尾に妖術的なものをかけられていたんだろう。
おばあちゃんのことは私のせいじゃない。
それが分かっていても、やはり深層心理では私は自分を責めている。
九尾は額面通りに受けとり、おばあちゃんを大切に思っただけなんだから悪くない。
でも私も悪くないから、『たぶん』だ。
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