女狐って響きだけでちょっと萌える

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あまりに勢いよく押されたもんだから、両手両膝を擦り付けながら盛大に転んだ。 痛みに耐えつつ目線を上げると、きめ細かい白い肌をした足が視界に映った。 「ご苦労様。もう行ってかまいませんわ。」 鈴の音のような、なんとも聞き覚えのある美しい声が耳に届いたけれど、顔を上げられない。 認めたくないのだ。 「っはい!」 女の言葉に対し、先生は誇らしげに声高く返事し、私を一瞥もせずに帰っていった。 怪我をさせるほどに全力で教え子を押しておいて、罪悪感の一つも感じていないらしい。 それほどに正常な状態ではないということだ。 心の中で舌打ちした。 もっと警戒すべきだった。 わざわざ学校にいる時間帯に先生を使って呼び出すということは、マオとの接触を避けているということだ。 悪い考えしか浮かばない。
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