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「ですから、魔王様には決して気取らせないで頂きたいのです。」
必死さが伝わってきてつい頷きそうになる。
でも明らかに安請け合いだ。ずっと一緒にいれば、いつか必ずばれる。
そもそも最初は隠す気がなかったから、今更隠そうとしても穴だらけだ。
「努力はする。でも、約束は出来ないよ。」
「してください。」
「え?」
九尾の冷たい指先が私の首に触れた。
絞められているわけでも、凶器を突き付けられているわけでもないのに、動くことができない。
「約束してください。もし、魔王様に真実を知られるようなことがあれば、
貴女を殺します。」
九尾の目が変わった。白目がなくなり、黒い瞳のみの獣の目だ。
押さえ付けられているわけじゃないから逃げればいいのに、動くことが何故か一番の失策に感じる。
呼吸が止まり、汗が吹き出す。
「わたくしは貴女なら、いつでも簡単に殺すことが出来る。覚えておいてください。」
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