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「大丈夫。疲れただけ。大した怪我もない。」
言いながら、マオの腕に手をついて上体をおこした。
「・・・そうか。」
マオは困惑しつつも、安心したように小さく息を吐いた。
「何があったんだ?」
「どうしてここに?」
マオの質問を無視して、こちらの疑問をぶつける。
迎えにくるには早すぎるし、呼んだわけでもない。偶然にしてはタイミングが良すぎる。
「結界内なら感じ取れないはずの艶子の気配がしたからだ。時間的に学校内から出ているのはおかしいし、微かに血の匂いもしたから心配になって・・・。」
マオが小さく震えているのに気付いた。
「生きた心地がしなかった。・・・大事なくて本当によかった。」
・・・不憫だ。
この先、この想いがおばあちゃんに届くことがないのが、不憫で仕方ない。
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