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暖かな午後の昼下がり。
リビングでは真由里がコーヒー片手に雑誌を眺めていた。
背後にはいつもの如く、マオが纏わりついている。
窓には晴れやかな青空が覗いていた。
あー、平和だ。
自然と浮かぶ言葉に息をついた。
と言うのも、ほんの二週間くらい前まで、私は常に緊張していた。
マオに私が『艶子』じゃないと気付かれると、九尾に殺されるという事態に陥ったからだ。
父や母は普通に私を真由里と呼ぶ。学校に行くことだってもし艶子ならありえない年齢だ。
今更ながらその事実に気付かれるんじゃないかと、どきどきさせられた。
けれど、もう一度言う。
緊張していた、だ。
そう、つまり今はしていない。
なぜならいくらばれそうな機会があっても、マオはとことん気付かない。
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