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思考の底から意識を現実に戻すと、いつの間にか母がにこやかな顔で隣に座っていた。
話しかけてオーラが顕著すぎて、無視できない。諦めて雑誌を置いた。
「何?」
「真由里ちゃん。今年のクリスマスはサンタさんに何をお願いするの?」
は?何で急に?
って言うか、
・・・まだ6月なんですけど。
ふと、私の誕生日がもうすぐだと思いつく。
もしかして、サプライズプレゼントを考えてくれているんだろうか。だとしたら、
・・・事前調査が下手すぎる。
反応に困るじゃないか。だいたい私がまだサンタを信じていることが前提なのか。
「えーと・・・、マグカップとか?前に割っちゃったままだし。」
「あら~、欲がないのね。でも、分かったわ。ママからサンタさんにお願いしておくわね。」
そう言って母は軽やかにその場を後にした。
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