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「重い、ウザい、放して。」
我が家への馴染みっぷりに苛立ちを隠せない。
朝の住宅街は疎[まば]らに人が行き交っているため、姿を消したマオに小声の抗議しか出来ないのも腹立たしい。
「あぁ、艶子の声は心地好いな。」
自分でも結構な毒を吐いているつもりだけど、マオは気にも留めない。むしろ嬉しそうだ。
どこか言われ慣れている雰囲気すらある。
というか、たぶんおばあちゃんに言われていたんじゃないかな・・・?
ずっとマオの口から聞くおばあちゃんと、私の頭の中のおばあちゃんのイメージが噛み合わないと思っていたけれど、最近はそうでもない。
きっとおばあちゃんはマオにだけ態度が悪かったんだと思う。
なぜなら今現在、私がそうだから。
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