マオ観察日記

7/20

112人が本棚に入れています
本棚に追加
/257ページ
「重い、ウザい、放して。」 我が家への馴染みっぷりに苛立ちを隠せない。 朝の住宅街は疎[まば]らに人が行き交っているため、姿を消したマオに小声の抗議しか出来ないのも腹立たしい。 「あぁ、艶子の声は心地好いな。」 自分でも結構な毒を吐いているつもりだけど、マオは気にも留めない。むしろ嬉しそうだ。 どこか言われ慣れている雰囲気すらある。 というか、たぶんおばあちゃんに言われていたんじゃないかな・・・? ずっとマオの口から聞くおばあちゃんと、私の頭の中のおばあちゃんのイメージが噛み合わないと思っていたけれど、最近はそうでもない。 きっとおばあちゃんはマオにだけ態度が悪かったんだと思う。 なぜなら今現在、私がそうだから。
/257ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加