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その55年の想いも、未だに私に違和感すら持たないのであれば、疑いたくなる。
「マオは『艶子』のこと・・・本当に好きなの?」
突然肩の重みが消えた。
「当然だ。」
マオは背後から私を飛び越えて、向き合うような形で目の前に着地した。その動きはまさに獣。
「艶子は俺のすべてだ。例え世界中のすべてが艶子の敵に回っても俺だけは味方だ。」
・・・そこまで大事な人を間違うな。
だいたい世界中のすべてが敵に回るってどんな状況?私はそこまで万物に嫌われたくないんですけど・・・
『艶子』本人に言ってたら、くさいセリフも55年の重みがあって素敵かも知れないけど、人間違いだとただただ恥の上塗りだ。
もう本当のことを教えた方が本人のためな気がしてきた・・・
「つまり下等生物が艶子を狙うなんて、殺してくれと言っているようなものだ。」
は?
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