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突然マオが私の腰に手を回した。
抵抗するどころか、声すら上げる暇もなく、景色が半回転する。
エレベーターが止まると一瞬重力を感じなくなる、あの時のような感覚が体を襲った。
そして、視界には色んな家の屋根が映る。
・・・あろうことか、衛星写真のように上空から。
「マ・・・オ?」
「艶子、しっかり掴まれよ。」
どこにだよ!?
人をセカンドバッグのような持ち方してるくせに、どこに掴まれと!?
いや、そうじゃなくて・・・
これ飛んでるよね?
不思議と恐怖はない。
むしろこの浮遊感が気持ちいいくらいだ。
文句があるとすれば、バイクに乗った時のように身を切るような風が寒すぎることだけ。
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