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ところが、
戸を開けた先にいたおばあちゃんは、見るからに元気がなかった。
というか、去年おじいちゃんが脳卒中で突然死んでしまってから、ずっと元気がない。
いつも背筋をピンとして、実際よりも大きく見えていたおばあちゃんが、今は正座したその姿がとても小さく見える。
私の頭の中では強い=おばあちゃんの図式が当たり前のように成り立っていたから、この急激な弱りようはショックが隠し切れなかった。
「ごめんね。突然押しかけちゃって・・・」
「それはかまわないけど、また何かタチの悪いのにでもつかまったのかい?」
「ううん、最近は大丈夫だよ。単におばあちゃんの顔を見に来ただけ。」
おばあちゃん曰く、私はとても上質な気を発しているそうだ。それが妖怪や幽霊、それどころか宗派を越えて悪魔の類にまで狙われる理由らしい。
そんな私をいつも助けてくれたのがおばあちゃんだ。
強くて、優しくて、上品な上に綺麗。私の憧れ。
私が黒い髪を染めもせず、ずるずると伸ばしているのは、そうすると昔のおばあちゃんそっくりだと言われたことがあるからだ。
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