春です!!

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家に着くと勝手知ったる双子は、母への挨拶もそこそこにずかずかと私の部屋に入っていった。 晴のお札のおかげで、マオは私の部屋まではついてこれない。 「いやー、話に聞いた通りだね。マオの執事っぷりは。」 部屋に着いた明の開口一番の言葉がこれだ。意味が分からない。 「亭主関白な夫の帰宅みたいな真由里の荷物の渡し方にはちょっと引いた。お互い一言も言葉を発していないにも関わらず、あのよどみない流れ作業。」 ・・・え? しまった!もう何の違和感もなくなってる!! 「い、今それはどうでもいいだろ。どうやってマオにばれないように艶子さんの写真探すか考えようぜ。」 晴の気を使ったかのような話の逸らし方に、よけいに危機感が募った。いつの間にかこの非日常に、感覚が麻痺して馴染みつつある自分に。
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