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若い頃のおばあちゃんを思った。
私は幸い理解ある両親や友人、何より同じ体質の祖母がいるという恵まれた環境にいるけれど、それでも理解してもらえない辛さならよく分かる。
自分が当たり前に見える生物が他人には見えず、
見える故の行動は周りから奇異な目を向けられ疎まれるのだ。
・・・もし、おばあちゃんのように両親、気の置ける友人もいなかったらどうだろう。
人外の者には命を狙われ、身を守る行動は人に疎まれる。
それは、
周りの者すべてが敵に見えたんじゃないだろうか?
『例え世界中のすべてが艶子の敵に回っても俺だけは味方だ。』
ずいぶん前のマオの言葉が自然と思い出された。
もしかして、おばあちゃんの一番つらい時期を支えたのはマオ?
・・・そんな馬鹿な。おかしな妄想だ。それならマオを遠ざけるわけがない。
そう思いつつも、その妄想が頭を離れなかった。
「話が逸れてしまったね。母さんの若い頃の写真はないけど、結婚式の写真はあると思うよ。普段の格好じゃないから、あまり参考にはならないかも知れないけど持ってくるよ。」
そう言ってお父さんが部屋から出て行った後も、私はもやもやが収まらなかった。
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