川崎 健太

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僕の名前は川崎健太。 今年の春から高校生だ。 普通より少し背が低いくらいの、ごく普通の15歳。中学で余り伸びなかったから、これから成長する筈だと期待を抱いている。 高校になると、今までずっと一緒だった友達と別れたり、校区外から来た新しい友達と出会ったりする。 そういう僕も、選んだ高校は校区外だ。でも市外ではないので、自転車で十分通学出来る距離にある。 電車通学に多少の憧れはあったが、そこまで遠いと通学で疲れそうだなんて考えて、市内の高校に決めたのだ。 何より、学力に問題があったし……。 そんな事よりも。 クラスに馴染めるか、勉強についていけるか、色々不安は尽きないが、何より新しい環境に対する期待が大きかった。 だから卒業式の後は、毎日をそんな不安と期待を抱えて過ごしていた。 そして、あっという間に高校の入学式を迎えたのだった。 入学式の朝。 僕は起きると、真っ先に新しい制服を着て鏡の前に立つ。 そこには緊張した面持ちの、少し顔の赤い少年が映っていた。高校生というには少し幼い。 でも何となく大人になったような気がして、鏡の中の少年は得意げな顔をしている。 僕はお母さんに「早くしないと遅れるわよー!」と言われるまで、その少年と睨めっこしていたのだった。
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