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彼らは僕には関心なさそうな顔で、そのまま窓際の一番後ろの席に向かう。僕は彼らから離れた場所に空席を見つけると、そこに荷物を置き、自分では知らないうちに詰めていた息を吐き出した。
後から知ったのだが、彼らの名前は荒川大地と篠原秀人。出身の中学校ではかなりの問題児だったらしい。
だけどそれは、外見からすぐ分かった。
茶髪にピアス(耳だけじゃなく鼻にも!)の荒川大地に、髪の色こそ黒いが、左袖からは何か模様が見えてる篠原秀人。
刺青とか言う?
この高校は校則が緩いし、ここしか入れなかったんじゃないだろうか。
噂ではヤクザと関係があるらしい。
髪を染めた事も、ピアス穴を開けた事もない僕は、彼らとは違う世界にいる筈だった。
でも彼らは、グループに入らず一人席に着いていた僕に目を付けた。
きっと外見や雰囲気から、僕に与し易い印象を受けたんだと思う。だって一人で座っている生徒は、他にもいたのだから。
小学校、中学校と友達の僕への印象は、「優しい」「いい奴」。ずっと変わらない。
いつもニコニコと受け流す。
嫌な事でも、頼まれると断れない。
色んな事に流されてきた僕は、自分の意見を通した事等なかった。
僕の学園生活への期待は、彼らと同じクラスになった時点で、脆くも崩れ去ったのだ。
そして一ヶ月が過ぎようとした頃、僕の立場は決まっていた。
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