川崎 健太

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「健太ぁ。俺、いつものな」 「あ、俺も俺も」 荒川大地は紙パックのコーヒー牛乳、篠原秀人はオレンジジュース(しかも粒入り!)。 カッコつけてるくせに、味覚はお子様なんだ。 そうは思うけど、昼休みになると、僕はいつもそれを買いに行かされる。 コーヒー牛乳は売店に置いてある。だけど粒入りのオレンジジュースは、校門を出て少し先の自販機まで行かなければならない。 一つ目の角に、生徒達に『かど屋』と呼ばれて親しまれている駄菓子屋があり、その表に自販機が置かれているのだ。 近いが、学校の敷地を出る事になる。 学校の規則では、休み時間であっても正当な理由がない限り、敷地から出る事は許されてない。 外に出る場合、担任に許可を貰う必要がある。無許可の場合は罰則がある。 でも、それは表向きだ。 そこには暗黙の了解というものがあり、生徒達は毎日誰かが『かど屋』に行っているし、学校側もそれを黙認している。 ただし正門からではなく、少し遠回りになるが裏門から出るのだ。 そこから『かど屋』までの道は、中央線も引かれてないような細い道だ。でも一応舗装はされていて、車も時折通っていた。
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