川崎 健太

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今日も二人に、パシリに使われていた。 今日はいつものにプラスして、この高校の売店で毎週木曜日限定販売の、数量限定の焼きそばパンを買うように言われた。 でもかなりの人気商品で、しかも週一回の限定だ。僕が売店に行った時には、そこには空になったトレーと売り切れの札が無情にも笑っていた。 僕は、とぼとぼとかど屋までの道程(みちのり)を歩く。 ジュースは確実に手に入るが、問題は焼きそばパンだ。 買った人に譲って貰いたくても、みんな楽しみにしているものだし、既にお腹に納まってしまっている。 どうしようもない。 かど屋で粒入りのオレンジジュースを手に入れた後、僕は自分の内側に閉じこもって、彼らにどう言えば許して貰えるかを考えていた。 殴る蹴るといった暴行を加えられる事はない。でも小突かれ、更に無理難題を吹っ掛けられる。 それは絶対に僕がクリア出来るような問題ではなくて、次はそれを口実に僕を馬鹿にするのだ。 それもクラスのみんなの前で。 みんなは二人が怖くて、僕が何をされても一緒にニヤニヤと笑うか、知らん顔を決め込むだけだ。誰も庇ってくれない。 彼らに盾突き、自分が的にされるのが嫌なんだ。 僕の身体は傷が付かない。だから教師が気づく事はない。 でも心は傷だらけだった。 僕は彼らの玩具なんだ。 もう学校には行きたくなかった。
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