逃げてる訳じゃない

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「墓参りって……」 「決まってるだろ、ミツバさんのだ」 「…………」 俺だって意識しなかった訳じゃない。 むしろ、この閑散とした頓所の中で意識するなと言うほうが困難だ。 その度に思い出すのは、ミツバの顔ではなく 思い詰めた総悟の顔だった。 自分の大切なものを護ろうって覚悟した目で俺を睨んで、 [どうでもいい]と言えば人が変わったかのように強くなる。 とくん…と、俺の中で、心臓が妙な音をたてた。 .
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