君が死んで一年

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バタン!!! さっきとは違い、思い切り音を立てて襖を閉めた。 途中で誰にも会わなかったのがせめてもの救いだ。 「はぁ……」 俺って、こんなに弱いキャラだっけ…… Sだからこそ打たれ弱いっていっても、泣くようなことはなかった筈だ。 握り締めた手が、ガタガタと震える。 あ、そうか。 俺、姉上が死んでから一度も泣いてないのか。 泣くことに慣れてない目は、我慢することができずに次々と水滴を落としていく。 「うっ……ぁっ……」 力が抜けて、ズルズルと座り込む。 今だけは誰も近付きがたい部屋に、すすり泣く声だけが俺の耳に響いていた。 .
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