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「澪治。どう?」
先ほど、俺をこの家に招き入れた奴が言う。
「あぁ、確定だ」
何が確定だというのだ。
だが、問題はそれではない。
何故、視界が暗いのかということ。
この黒はなんの色だろうか。
暗闇の黒か。
憎悪や殺意の黒か。
なんの、黒なのか自分でも分からない。
ただ、凄く、コイツ等の声が近いことはわかる。
「もう完了はしましたか?」
「あぁ、したよ。俺は完璧な澪治だ」
完璧なレイジとはどういう意味だろうか?
と、考えた時に俺の視界は広がった。
光が、暗闇の中に差し込んでくる。
白が、黒の中に差し込んでくる。
見慣れない、風景が視界に映る。
そして俺の視界にまず映った人物は、俺を招き入れた男。
優男のような笑みを浮かべて俺を見てくる。
優男の後ろには、窓があった。
いつのまにか朝になっていたようで、雨は止み、窓からは日の光が差し込んでいる。
きっと、差し込んでいた白の正体はコレだろう。
優男は背を向けて歩き出した。
体は、動いてくれなかった。
――――――――
「…おかえり、澪治。待ってたよ」
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