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雀っていうのは、止まり木で休んでいる以外はだいたい飛んでいると思う。
だから、そんな雀のように物事一つ一つ、懸命に取り組めるような子になってほしいとつけられた僕の名前。
そしてそんな僕はというと。
見事に期待を裏切った。
何をするにも気力が湧かない今年で十九になる僕。
大学にも通わず、バイトも週に一回。
両親は事故で他界したから、その保険金で暮らしている。
ご近所の人達も、同情からかいろんな物をおすそわけしてくれるため、バイトなんかやらなくても特に困らなかった。
昔は、何だって頑張っていた。
両親におこづかいをもらったり、先生に褒めてもらったりするのが嬉しかった。
何より、両親が僕のことを誇らしげに話している姿が、僕にとっての幸せだったから。
でも、両親が死んでから、全てがどうでもよくなった。
何をするにも、気力がわかなくなったんだ。
やらなければいけないと分かっていてもやりたくなかった。
だから僕は、ゲームをするわけでもなく、本を読むわけでもなく。
ただ、本当に必要な事だけをやっていた。
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