10人が本棚に入れています
本棚に追加
流石にテレビがあって無音っていうのは虚しくなるから、テレビをつける。
『昨夜から登山をしに行った松谷 啓史さんが戻ってこないということで、行方不明の……』
あらら。お気の毒。
まだ若かっただろうにね。
僕には関係ないけどね、微塵も。
あ、嘘だ。
ミクロンの単位で関係してた。
バイト先の社員の、お兄さんだ。
バイト先の社員……宏樹くんだった気がする。
宏樹君は大の森林浴好きで暇とお金があれば森だろうが山だろうが行く人。
何回かお兄さんの話は聞いていた。
一緒に登山をするんだ、とか。
怒りっぽいけど優しいんだよ、とか。
宏樹君、嬉しそうにいつも話してたから、ちょっとお気の毒だなぁ。
でも、聞いたことがない山の名前。
あぁ、当たり前か。
僕バイト以外では絶体に外でないから。
ごろごろとしながら不意に時計を見てみると夜の七時。
そろそろ晩御飯を食べる時間だ。
とは言っても、僕は献立を考えるのだって買い物だって面倒くさい。
だから、いつもは歩いて五分位で着くコンビニに自転車で晩御飯を買いに行ってる。
そんな、ぐーたらしてる毎日。
きっとそれは明日になろうと明後日になろと、変わることはないんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!