1.Rage

2/10
前へ
/30ページ
次へ
「あのクソ上司が!!」 今日が〆切だった発案書。 朝方まで徹夜してなかなか上出来だと思ってた。 眠いのを堪えて発案書を抱えて出勤して上司に見せた。 そしたら、あの上司は俺を嘲笑しながら言った。 『これは子供の落書きじゃないんだぞ?』 と。 そのあと、昨日までが〆切だった後輩の発案書がウケていた。 それこそ、落書きじゃないか?と聞きたくなるほどの発案書が。 苛つきの原因はそれだけじゃない。 必死にムカつきを抑えつつ俺は自分の仕事をする机に向かった。 だが、俺の机を誰か分からないやつが座っていた。 何事かと上司に聞いてみれば 『君、もう来なくていいよ』 と言われた。 リストラだった。 このご時世、んなものはよくある話だとは思う。 だが、一言もいれずにいきなりだった。 家庭があったわけではないが、無駄に苛つきがたまった。 そして怒りのままに駅に行き、帰路についていた。 だが、俺はふと、山に行きたくなった。 弟が森林浴が大好きでよく連れられていっていたが、いつも心が休まっていた。 どこでもいい。 落ち着くことができる場所に行きたかった。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加