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「で、どうしたと言うの?」
なんだか、口調とかで高飛車な子な気がする。
でも、目が答えろ、と言っている。
「そこの部屋が……」
別段、隠す必要があったわけじゃないしあんなに堂々と開いているんだ。
少なくても、かなり見られたくない光景という訳ではなかったのだろう。
だから、僕は振り向きながら言いその先を説明しようとした。
でも、
「――!!?」
なかった。
よく言う、荒れている部屋に見えるけど次見たときには清潔だった。
みたいなものじゃない。
散らかっていた物がないんじゃない。
ないのは、部屋だった。
驚きながらも江恋さんを見る。
江恋さんは、僕をおかしい人を見るような目で見てきている。
「部屋??そこに部屋はないはずよ?」
冗談を言っているようには見えない。
けれど、僕は確かに見たはずだった。
皿が割れて、所々に散らばったガラス。
テーブルの近くにあったであろう倒れていた椅子。
あんなにも鮮明に覚えているのに……扉を開けた感覚すら、僕の手はその感覚を覚えている。
それなのに……幻覚だったというのだろうか――?
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