2.Laziness

10/12
前へ
/30ページ
次へ
「で、どうしたと言うの?」 なんだか、口調とかで高飛車な子な気がする。 でも、目が答えろ、と言っている。 「そこの部屋が……」 別段、隠す必要があったわけじゃないしあんなに堂々と開いているんだ。 少なくても、かなり見られたくない光景という訳ではなかったのだろう。 だから、僕は振り向きながら言いその先を説明しようとした。 でも、 「――!!?」 なかった。 よく言う、荒れている部屋に見えるけど次見たときには清潔だった。 みたいなものじゃない。 散らかっていた物がないんじゃない。 ないのは、部屋だった。 驚きながらも江恋さんを見る。 江恋さんは、僕をおかしい人を見るような目で見てきている。 「部屋??そこに部屋はないはずよ?」 冗談を言っているようには見えない。 けれど、僕は確かに見たはずだった。 皿が割れて、所々に散らばったガラス。 テーブルの近くにあったであろう倒れていた椅子。 あんなにも鮮明に覚えているのに……扉を開けた感覚すら、僕の手はその感覚を覚えている。 それなのに……幻覚だったというのだろうか――?
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加