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整備されている一本道を歩いて行くと、二つに別れている道があった。
俺自身が比較的に右側の方を歩いていたため右の道を行くことにした。
そんなに急ではない山を黙々と登っていく。
暫く登山を続けていると喉が渇いた。
だが、俺は水も何も買っていなかった。
圏外と表示される携帯を見るともう夕方になっていた。
喉の渇きをまぎらわすために、深呼吸を三回ほどする。
俺の住む都会では味わえないような新鮮な空気が入ってきて身体が、軽くなっていく気がした。
――――
少し休み、下山をしようとした時だった。
ポツリ、と、雨が降ってきた。
雨具も持ってきておらず、せっかく落ち着いていた怒りがまた込み上げてくる。
雨は強くなる一方でまるで空も俺を嘲笑っているようだった。
急いで下山をしていると、視線の端に小さな家のようなものが見えた。
来た時は目前に集中しすぎて気がつかなかったのだろう。
俺は雨が降っているままの山は登るのも下るのも危険だ、という弟の言葉を思い出し雨宿りを兼ねてそこで休ませてもらうことにした。
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