第1章

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†第1話『始まりの街、エアデール』  ――――――飛行艇アスモデウス、ブリッジ。 「ハア……今回の仕事はたいへんだったね」  船を滞空状態にし、ショコラが呟く。 「マジでもうダメかと思ったぜ……」  レッドも同じように、ため息をつきながら言った。 * * * * *  あれからレッドは、落下する瓦礫を避けながらなんとかヒンデンブルグの甲板まで移動できた。  そこからショコラの操縦するアスモデウスに飛び乗ればいいだけなのだが、辺りがもう真っ暗でなかなか見つけることができなかった。 「くっそー…どこだ!アスモデウスは……おわっ!」  ガクンと、船が大きく揺れた。  瓦礫の音に混じり、何やらおぞましい雄叫びのようなものも聞こえた。  レッドは後ろを振り返る。 「げぇっ!!な、なんだアレは!!」  月明かりに照らされた、巨大な怪物がすぐそこに迫っていたのだ。  アレはいつ、現れた。  潜入した時にはあんなモノはいなかったはずだ。 「まさか……この揺れって…」  クーバースの戦艦による砲撃が原因かと思っていたが、揺れ始めたのは部屋の奥にあったメダリオンを取った後だった。 (まさか……このメダリオンのせい、か……?)  確かあの時、メダリオンは不思議な光を放っていた。  その直後にあの怪物が現れたとすると、偶然にしては出来すぎている。 『お兄ちゃんっ!今からヒンデンブルグに接近するから、飛び乗って!』 「!おうっ!」  ショコラの通信が入り、思考から現状に意識を向ける。  今は考えていても仕方がない。  暗闇の中、近づいてきたアスモデウスにレッドは飛び乗った。 * * * * * .
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