序章

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「しっぽふ~りふ~り~♪悔しかったらここまでおいで~♪」 『お兄ちゃん何やってるのっ!やめなよ~!』 「どうせ何もできやしないって♪」  ショコラが無線で注意するが、調子に乗っているレッドにはどこ吹く風だ。  これだけ離れていれば、彼らは何もできないはずだ。  もうバレているのなら、派手にやらしてもらいたい。 「まさか撃ってくるこたーねーだろ……」  ドンという大砲の音に、レッドは固まる。  その音の方を見るとミサイルが飛んできていた。 「えええええ~~っ!!マジで撃ってきやがった!アイツら何考えてんだ!?」  ミサイルは機体に当たり、激しく揺れる。  このまま攻撃を受ければ、船が落ちるか通路から放り出されるかのどちらかだ。 「っんの野郎!やられてばっかで堪るかっ!!」  レッドはミサイルを掴むと投げ返した。  見事戦艦に当たり、そこから黒い煙が上がる。 *** 「お、己れぇ……ワシを怒らせおったな~!!撃て!撃ちまくれィ!」  挑発だけでなく反撃されたことに、ガレットの怒りは頂点に上がる。  しかしこのまま撃ち続ければ、船は間違いなく沈むだろう。  部下の一人が慌ててガレットの止めに入った。 「ガ、ガレット艦長、お止め下さい!ヒンデンブルグが危険です!!」 「そんなの知った事ではないわ!」  その発言に部下は呆れた。  もうこの人はダメだ、目先のことしか考えていない。  そう判断した彼は、その場にいる仲間に呼びかけた。 「おいっ!みんなでこのバ……艦長をお止めしろっ!!」 「な、何をするかアガガガ……」  複数でガレットに飛び掛かり、口に布を巻いて黙らせ、縄で縛りつける。  そして砲撃を止め撤退の指示を出し、彼らはその場から飛び去っていった。  その様子をアスモデウスから見ていたショコラが呟いた。 「……クーバースにもお兄ちゃんみたいなのがいるんだね…」 『……アン?どういう意味だコラ』 「あ……ほ、ほら!早く重要ファイル取ってきてよ!」  無線が入りっぱだったことに気づき、慌てて取り繕う。  そしてこれ以上何も言われないように、一方的に通信を切った。 .
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