20人が本棚に入れています
本棚に追加
「しっぽふ~りふ~り~♪悔しかったらここまでおいで~♪」
『お兄ちゃん何やってるのっ!やめなよ~!』
「どうせ何もできやしないって♪」
ショコラが無線で注意するが、調子に乗っているレッドにはどこ吹く風だ。
これだけ離れていれば、彼らは何もできないはずだ。
もうバレているのなら、派手にやらしてもらいたい。
「まさか撃ってくるこたーねーだろ……」
ドンという大砲の音に、レッドは固まる。
その音の方を見るとミサイルが飛んできていた。
「えええええ~~っ!!マジで撃ってきやがった!アイツら何考えてんだ!?」
ミサイルは機体に当たり、激しく揺れる。
このまま攻撃を受ければ、船が落ちるか通路から放り出されるかのどちらかだ。
「っんの野郎!やられてばっかで堪るかっ!!」
レッドはミサイルを掴むと投げ返した。
見事戦艦に当たり、そこから黒い煙が上がる。
***
「お、己れぇ……ワシを怒らせおったな~!!撃て!撃ちまくれィ!」
挑発だけでなく反撃されたことに、ガレットの怒りは頂点に上がる。
しかしこのまま撃ち続ければ、船は間違いなく沈むだろう。
部下の一人が慌ててガレットの止めに入った。
「ガ、ガレット艦長、お止め下さい!ヒンデンブルグが危険です!!」
「そんなの知った事ではないわ!」
その発言に部下は呆れた。
もうこの人はダメだ、目先のことしか考えていない。
そう判断した彼は、その場にいる仲間に呼びかけた。
「おいっ!みんなでこのバ……艦長をお止めしろっ!!」
「な、何をするかアガガガ……」
複数でガレットに飛び掛かり、口に布を巻いて黙らせ、縄で縛りつける。
そして砲撃を止め撤退の指示を出し、彼らはその場から飛び去っていった。
その様子をアスモデウスから見ていたショコラが呟いた。
「……クーバースにもお兄ちゃんみたいなのがいるんだね…」
『……アン?どういう意味だコラ』
「あ……ほ、ほら!早く重要ファイル取ってきてよ!」
無線が入りっぱだったことに気づき、慌てて取り繕う。
そしてこれ以上何も言われないように、一方的に通信を切った。
.
最初のコメントを投稿しよう!